堕ちようが堕ちなかろうが

「狂っている」と。
彼は仲間たちの事をそう評価した。
「狂っている」と。
おれたちは彼の事をそう評価した。

ふと、お気に入りの漫画の台詞を思い出す。

『ありがたいことに私の狂気は君達の神が保障してくれるという訳だ』
『よろしいならば私も問おう』
『君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね？』

まったくもって、その通りだ。
彼らの狂気はおれたちが保証するとしても、
おれたちの正気はいったいどこの誰が保証してくれるのだろうか。

堕ちようが堕ちなかろうがおれはひとごろしの殺人鬼で。
なにかを殺すことに対して罪悪感も抱かない。
人間生きてる限りなにかを殺しながら生きている。
鶏を豚を牛を魚を草を空気を他人を自分を殺して生きてるんだ。
今さらそんなものを抱いたって大したことはない。

こんな考えは狂っているのだろうか。
だとしたら、誰がおれの正気を、狂気を、
保証してくれるのだろうか。